今回は、久真建装様のロゴマークの制作をした工程を、ロゴ制作の事例としてご紹介します。
「ロゴには何のためにあるのか」を知っていただくとともに、「ロゴ制作では実際にどのような作業(工程)を行っているか」を知り、ロゴ制作がただ「形を作って終わりではない」ことを知っていただこうと思います。
会社ロゴは何のためにあるのか。
まずは「会社ロゴは何のためにあるのか」について解説していきます。
会社のロゴは企業のイメージに直結し、会社の存在価値を高めるために、重要な役割を果たします。
会社設立時のほか、設立後に事業をさらに躍進させるため、あるいは事業形態・ブランドの一新、周年記念などの節目にロゴを作製・リニューアルする企業は少なくありません。
会社のロゴとは、言わば会社の顔です。ロゴで社名や思い、社風を表します。
会社を覚えてもらい、他社との違いを表します。
会社のロゴはお客様に自社を認知してもらうものであり、自社の看板でもあり、うまく活用すれば、会社を成長させる大きな要素となります。
お客様に「安心感」「サービスへの信頼」を与える力があります。
デザインの方向性を決める為のヒアリング
ロゴを新しく作るとき、まずは「どのようなロゴを作りたいのか」をヒアリングします。
- どういった経緯でロゴを作ることになったのか、
- どんな仕事を行っているのか、
- 今後の事業展開、
- どんな思いで会社が動いているのか、
- 仕事を通して何をやっていきたいか、
- 具体的なイメージがあるか、
などロゴに盛り込みたい想いや会社に関する情報を聞かせて頂きます。
『どういった経緯でロゴを作ることになったのか』は、ロゴ制作に至るまでの全体像を把握するために必要です。
- 会社を創業したのか、
- 現状のロゴデザインが時代に会わなくなったのか、
- 業態変更に伴ってデザインを一新するのか、
- 子会社設立に伴ってロゴが必要になったのか、
など、さまざまな要因が考えられるでしょう。
例えば子会社の設立であれば、親会社とロゴに共通性を持たせるべきかを検討させていただきます。
次に『今後の事業展開』について質問をします。
より詳細なデザインの方針を決めるためです。
さまざまな事業を展開していく予定があるのであれば、その内容に関する情報もロゴに盛り込むかどうかを検討しなければいけませんし、事業が多岐に渡る場合は、具体的に事業を想像させるデザインを避ける必要があるためです。
続いて『どんな仕事を行っているのか』という質問をします。
業界らしいロゴを作るためや、また業界の要素を入れるかどうかを判断するためです。業界の要素とは不動産であれば、ビルや家、立体物に見えるデザインにすることを指します。業界的な要素を入れることで分かりやすくなるとともに、覚えてもらいやすくなります。
『どんな思いで会社が動いているのか、仕事を通して何をやっていきたいか』は、ロゴ内に込める想いやメッセージ、全体的なビジュアルに影響します。
想いやメッセージを込めるとは「世の中を楽しくしたい」という思いがあれば、笑顔に見えるパーツをいれることを指します。
『具体的なイメージがあるか』とは、お客様が事前に考えたデザインがある場合に、イメージの内容と盛り込まれた要素について詳しいお話を聞きます。
これまでの質問に対するご回答を再度確認し、お客様と話し合ったうえでロゴの具体的な作製方針を決めていきます。
何を優先するのか、ロゴを通して何を伝えていくか、どんなメッセージを伝えていくかを決めます。
今回は「地域を象徴する花の「サガリバナ」を必ず使いたい」が最も優先度の高い要望でした。
次点では「格式を持たせるための和風」か「新しい感じ」を見た目で比較したい、というのが大きなポイントとなりました。
まずは多くの案を出し、発想を広げるラフデザイン
お客様からの要望やイメージを伺ったあとは、当社で手書きのラフデザインを作っていきます。
お客様との打ち合わせの結果を元に作るほか、「その他に良い案がないか」も含めて考えていきます。
そのため、お客様の会社や業界について、改めて調べていきます。
今回は「サガリバナ」のイメージが必須であったため
- 「サガリバナ」がどんな見た目の花なのか、
- どんな生態なのか、
- どんな花言葉なのか
についても調べました。
調べた情報も踏まえて初めて、手書きでラフデザインを行います。
(イメージは過去案件のものです)
手書きだけで数十パターン作成し、データ上でも数パターンデザインを作成します。
ロゴデザインにはメッセージや想いが込められていますので、どう言った意味合いをどういった形で表現するか、その形がロゴとして適切かどうかも検討しながら、何度も修正しつつ制作します。
方向性の確認の為、初稿提出
デザインがある程度まとまったら初稿をお客様に提出し、デザインのすり合わせを行います。
※今回はデザインの方向性が広くなったこと、スケジュールの都合上、ザックリした形の段階でお打ち合わせさせていただきました。
いずれもサガリバナをロゴらしくするためにシンプルにデザインしました。
ロゴデザインは名刺やWEBページのトップなどで小さく使うことがあるので、極力シンプルな方が良いロゴとなります。また広告デザインに入れる際も、シンプルだと何かと使い勝手が良くなります。
今回のご要望の実際のサガリバナをそのままロゴに使用すると、何が描かれているのかが分かりにくくなります。そのため「このロゴはサガリバナをデザインしたものです」と説明されれば分かる程度までデフォルメし、簡略化したデザインにしています。
ロゴの色合いは「重たいイメージにしたくない」とのご要望を基準に決めています。
デザインを見ていただきながら、お打ち合わせさせていただき完成に向けて修正方針を決めます。
今回の修正としては右案をベースに下記修正となりました。
・形状を分かりやすく。
・色合いを鮮やかに。(若いイメージにしたい)
・左案の隠し文字を使いたい。強調したい。(社名を覚えてもらいたい)
ブラッシュアップののち、修正提出
お打ち合わせから数日後、改めてデザインを提出します。
デザインの方針も決まったので、ある程度作り込んだデザインにします。
この時に具体的に行ったことは下記の内容です。
・形状を一から作り直し
・ロゴタイプの隠し文字を再制作しバランス調整
・わずかに立体感と陰影を加え、奥行きや厚みのイメージを伝わりやすく変更
・色合いを鮮やかにし、下部に緑を入れて「サガリバナ」らしさを追加
左は少しでもサガリバナらしさを出すために多少要素が多くなる形でデザインです。
右は要素を減らし、シンプルにしロゴとしての使いやすさを高めたデザインとなります。
さらに修正・打ち合わせを重ねて、少しずつ決定案に向かっていきます。
※隠し文字について
「社名を覚えてもらいたい」、「何か面白いことができれば」という話が出ていたことから、隠し文字で略称の「クマケン」の文字を入れています。
元々はすべて黒色の文字でしたが、お客様の「社名を覚えてもらいたいので分かりやすく」という要望で色を変えて明確に分かりやすくしました。
デザイン確定の為、最終案提出
修正を数度重ねて、最終的に決まったのがこちらです。
最終的にはカラフルなデザインとなりました。
「華やかで明るく元気なイメージを持たせたい」
「社員も若いので、若々しいイメージを持たせたい」
という追加のご要望があり、話し合った末に、上図のカラフルなデザインとなりました。
決定後、ロゴ使用時に困らない様に、バージョン違い・マニュアル作成
決定後は、ロゴのパターンをいくつか作ります。
- ロゴマークとロゴタイプを縦に並べた場合、横に並べた場合。
- フルカラー印刷、白黒印刷、一色での印刷の場合。
- 背景が白色ではない場合を想定した配色。
といったバリエーションになります。
色の指示、簡易な禁止事項を記載した指示も作ります。
マニュアルのようなものです。
私が担当する場合のロゴデザインの場合、マニュアルは最低限の内容にしています。
分厚いマニュアルは、お客様には満足感があるかもしれませんが、運用が難しくなるためです。
さまざまなケースを想定してロゴの運用ルールは定められますが、必ず例外が出てきます。
すべてのルールを守るとデザイン上変な配置になったり、極端に小さくなったりと問題が発生します。
ロゴは重要なものですが、ロゴのせいで広告が成立しなくては意味がありません。
「これが使い方の基準です。」程度のマニュアルで、あとはその時その時の広告の担当デザイナー様に任せるようにしています。
デザインの意味を記載し、お客様自身も自社のロゴについて語れるようにします。
「自社を好きになり、自社を語れるようになる」こともロゴを作る価値です。
今回のロゴの意味は、
『幸福が訪れるサガリバナ
ロゴマークはサガリバナを図形化したものです。サガリバナには沖縄を象徴する意味合いと花言葉の「幸福が訪れる」というメッセージが込められています。カラフルな色合いは、お客様の色鮮やかでさまざまな人生を表現しています。ロゴタイプのピンクはカタカナでクマケンと書かれています』
今回は久真建装様の事例を紹介させていただきました。
ロゴを作る・考えるのは簡単な作業ではありません。
しかしロゴは、会社にとって重要な要素です。
大変だからと作らないままでいたり、時代に合わないロゴを使い続けたりするのは、お勧めできません。
まだロゴがない、変更に戸惑っている方は、ロゴの作成をお勧めします。
ロゴ制作は簡単ではありませんが、きっと楽しいものになります。
自社のことを改めて考え、顧客のことを考えることで成長につながるだけでなく、自社への自信にもつながります。
ロゴをご検討の方は、ぜひエンドライン株式会社にご相談ください。
きっと、ワクワクできるロゴができるはずです。